コラム

税理士による身近な会計コラム

確定給付年金と確定拠出年金の会計処理について

第01回 17年06月更新

石田昇吾氏

第1回は、確定拠出年金と確定給付年金について取り上げます。

 

■確定拠出年金と確定給付年金について

 

確定拠出制度とは、退職給付に関する会計基準第4項によると、「一定の掛金を外部に積み立て、事業主である企業が、当該掛金以外に退職給付に係る追加的な拠出義務を負わない退職給付制度をいう。」 と規定されています。

従業員から労働のサービスを受けている期間中に、退職金の積み立てとして一定額の外部拠出を行う制度です。つまり、加入者ごとに外部に「拠出」する金額が決まっており、将来に支払う退職金の金額は決まっていない制度ということです。

それに対し、確定給付制度とは、「給付」額が決まっている制度。つまり、将来支給される退職金の額が決定しており、その原資を調達するために企業側が様々な運用をするという制度となります。

 

■確定拠出年金と確定給付年金の会計処理について

 

①確定拠出制度における会計処理は、当該制度に基づく要拠出額を『退職給付費用』として計上し費用処理します。つまり、退職給付引当金の計上は行いません。前述の通り、一定の掛金を拠出すれば良いため、その時点で企業側の退職金に関する債務はなくなるという考え方です。

 

<期中の仕訳>

確定拠出企業年金制度に伴う、当期の拠出額50,000円を現金で支払った。

 

(借方) 退職給付費用 50,000円 / (貸方)現金 50,000円

 

<従業員退職時の仕訳>

仕訳なし

 

②一方、確定給付制度における会計処理は、かなり複雑ですので、簡略化して記載いたします。将来確定している退職金の額について、毎期、引当金を計上していくのが基本的な考え方です。

 

<期末の仕訳>

退職給付債務の増加額が50,000円であった。

(借方) 退職給付費用 50,000円 /(貸方)退職給付引当金 50,000円

※この退職給付費用は、税務上は、損金とならないため、法人税の別表調整項目となります。

 

<企業年金に積み立てたときの仕訳>

将来の退職金支給に備え、企業年金10,000円を積み立てた。

(借方)退職給付引当金 10,000円 /(貸方)現金  10,000円

 

<退職時の仕訳>

従業員の退職に伴い、10,000円を支払った。

(借方)退職給付引当金 10,000円 /(貸方)現金  10,000円

 

 

■確定給付制度から確定拠出制度へと移行する場合

 

現状、運用利率等の低下などもあり、徐々に「確定給付制度」から「確定拠出制度」への移行が進んでいます。確定拠出制度は、退職金について拠出以後に追加的な負担が生じないため、退職給付債務はゼロになります。また、確定給付年金から確定拠出年金に資産(脱退一時金相当額)を移換することが考えられますが、不足している場合は、給付減額をするか、一時的な拠出が必要になり、特別損益が発生する可能性があります。

 

 

最後に、確定給付年金に関する会計は複雑で金額の算定も難しいため、その会計処理は、必ず公認会計士等の外部の専門家のアドバイスを受けるようにしてください。

著者プロフィール(石田昇吾氏)

クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より、税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、年商1000万円以下の小規模事業者向けの決算申告サービス(http://zeirishikessan.net/)も実施している。