コラム

税理士による身近な会計コラム

税込経理と税抜経理の処理の注意点~消費税の経理処理について~

第02回 17年07月更新

石田昇吾氏

第2回は、消費税の経理処理について取り上げます。

 

■税込経費方式と税抜経理方式について

 

消費税の経理方法には税込経理方式と税抜経理方式があります。

税抜経理方式が原則とされていますが、任意に選択できます。

 

<税抜経理の仕訳>

税抜経理方式とは、消費税の預かりや支払いをすべて仮受消費税・仮払消費税・未払消費税などの科目で処理する方法です。

 

①消費税24,000円を預かった時

・300,000円(消費税24,000円別途)の販売手数料を受け取った。

現金 324,000円   /  受取手数料 300,000円

___________仮受消費税  24,000円

 

②消費税8,000円を支払った時

・100,000円(消費税8,000円別途)の通信費を支払った。

通信費  100,000円   /  現金  108,000円

仮払消費税8,000円

 

③消費税16,000円を納税した時

・消費税の納税額が16,000円と確定し納税した。

仮受消費税24,000円  / 仮払消費税 8,000円

_____________未払消費税 16,000円

未払消費税 16,000円 /  現金     16,000円

 

<税込経理の仕訳>

これに対し、税込経理方式とは、本体価格と消費税を合算して経理処理する方法です。

 

 

 

①消費税24,000円を預かった時

・300,000円(消費税24,000円別途)の販売手数料を受け取った。

現金 324,000円   /  受取手数料 324,000円

 

②消費税8,000円を支払った時

・100,000円(消費税8,000円別途)の通信費を支払った。

通信費  108,000円   /  現金  108,000円

 

③消費税16,000円を納税した時

・消費税の納税額が16,000円と確定し納税した。

租税公課  16,000円  /  未払消費税 16,000円

未払消費税 16,000円 /  現金       16,000円

 

 

■有利不利な点はあるのか?

 

基本的には、両者の違いは経理処理の違いになるため、納税する消費税額が変わることはありません。ただし、会計処理・法人税の観点からすると、以下の様な違いがございます。

 

①減価償却費

減価償却資産の取得価額は、両者どちらを採用するかによって、(消費税分)変わるため、減価償却費も異なります。税抜経理方式の方が消費税の分だけ計上する金額が低くなるため、少額減価償却資産(10万未満)、などの判定の際、税抜経理方式の方が有利となります。また、特別償却・特別控除などを適用するのに必要な器具備品・ソフトウェア等の金額(70万、120万など)の判定においては、消費税の分、税込経理が有利となります。

 

②交際費の損金不算入額

交際費の損金不算入額を算定する上で、消費税が除かれる分、税抜経理方式の方が少なくなり、税抜経理方式の方が有利となります。

 

■注意点

・消費税の免税事業者は、税込経理方式しか採用できません。

・仮に税込経理から、税抜経理に変更した様な場合は、重要な会計方針の変更となるため、

将来IPOを目指すような場合には、注意が必要です。

著者プロフィール(石田昇吾氏)

クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より、税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、年商1000万円以下の小規模事業者向けの決算申告サービス(http://zeirishikessan.net/)も実施している。