コラム

税理士による身近な会計コラム

繰延資産についての経理処理

第03回 17年08月更新

石田昇吾氏

繰延資産とは、会社または個人事業主が支出する費用で、その支出効果が1年以上に及ぶものです。会計上の繰延資産と、税務上の繰延資産に分類することができます。

繰延資産は、日々の会計処理において、一見費用と区別がつき辛いため、見落とさないことが大切です。

 

①会社法上の繰延資産

旧商法では、旧商法施行規則において、繰延資産として計上することができる項目として、「創立費、開業費、研究費及び開発費、新株発行費等、社債発行費、社債発行差金、建設利息」を列挙していました(旧商規35~40)。

しかし、会社法では、会社計算規則において、繰延資産として計上することが適当であると認められるものを繰延資産として計上する(計規106③五)としか記載されていませんので、実務的には、株式交付費、社債発行費等(新株予約権の発行に係る費用を含む)、創立費、開業費、開発費の5項目が該当すると解釈されています。

繰延資産は、効果の及ぶ所定の期間にわたって償却します。もし、支出の効果が期待されなくなった場合は、その未償却残高を一時に償却する必要があります。

 

②税法上の繰延資産

上記の繰延資産とは別に、税法独自で設定されている繰延資産があります。以下に例示いたします。

繰延資産として処理すると費用として計上されるタイミングが遅くなり、課税所得が大きくなるため税法上の方が繰延資産という概念が広いことになります。

会計上の勘定科目は、長期前払費用として計上するのが一般的です。償却期間は、各々個別に定められています。

 

・自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のための費用

・建物を賃借するための権利金

・資産を賃借するための権利金等

・ノウハウ提供にあたっての頭金

・広告宣伝用資産

・パソコンなどの賃借に伴って支出する費用

・商店街のアーケード設置費用

・同業者団体の加入金

・スキー場のゲレンデ整備費用

 

税法は課税の公平という観点から、繰延資産が規定されています。例えば、「パソコンなどの賃借に伴って支出する費用」を例にとって説明いたします。

具体的には、機械のリースに伴って支出する据え付け費などがこれに該当します。これは、資産の購入の際の処理とバランスを取っています。資産を購入した際の据え付け費は付随費用となり、資産として処理され、減価償却費を通じて徐々に費用化されていきます。その処理とバランスを取るため、リースの際の据え付け費用も一時の費用とせず、繰延資産として処理し、徐々に費用化するということになっています。

 

なお、最近流行った、太陽光発電設備と電力会社との連系工事負担金も税法上の繰延資産に該当しますので、ご注意下さい。

著者プロフィール(石田昇吾氏)

クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より、税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、年商1000万円以下の小規模事業者向けの決算申告サービス(http://zeirishikessan.net/)も実施している。