税理士による身近な会計コラム
仮想通貨に関する経理処理について②
第09回 18年08月更新
コラム
石田昇吾氏
今回は引き続き、仮想通貨に関連する会計処理について解説いたします。
※ICOとは、「Initial Coin Offering」の略で、トークン(コイン)の発行による資金調達のことです。ICOに関する会計処理につきましては、執筆時点では未整備となっております。記載内容はあくまでも処理の一例となります。現時点では、ホワイトぺーパーなどから、資金拠出の内容を判断し、個別に会計処理を決定していく形になるかと思います。
長期預け金(貯蔵品) 100,000 現金預金 100,000
仮想通貨勘定 100,000 長期預け金(貯蔵品) 100,000
※ここでは、拠出額をもってトークンの取得価額とする処理を採用しておりますが、そのトークンが主要な取引所に上場した場合など、明らかな時価が存在する場合、時価をもって帳簿価額とし、付与時点で仮想通貨換算差損益を認識する処理も考えられます。
①給与支給のため、ビットコインを70万円で調達した。
仮想通貨勘定 700,000 普通預金 700,000
②月末になり、給与を1ビットコイン支払った。なお、月末のビットコインの時価は、75万円であった。
給与手当 750,000 仮想通貨勘定 700,000
仮想通貨換算益 50,000
※実際の源泉徴収事務においては、支給時の円換算額(上記の例では750,000円)を元に、源泉徴収税額を計算しますので、正確には、同時に所得税預り金が計上されます。
仕訳なし
※仮想通貨が分裂し、新たな通貨が付与された場合の処理についても、明らかにはなっていません。分裂という言葉を使っていますが、実質的には新たな通貨が付与されたことになり、その通貨の時価で雑収入を計上すべきとの考え方もありますが、新たな通貨の時価の算定は困難であり、また、恒久的な価値が保障されているわけでもないので、付与時点では価値が0円と考えて差し支えないかと思います。
以上 今月は少し難解なテーマを取り上げました。繰り返しになりますが、仮想通貨の処理は今後、明らかにされていくかと思いますので、その都度、本コラムにてご紹介させていただければと思います。
クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。
在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。
平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。
財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、仮想通貨に関連する税務業務にいち早く取り組んでおり、独自のサービスも展開している。
(https://www.bitcoin-tax-taisaku.com/)