コラム

税理士による身近な会計コラム

研究開発費に関する経理処理について

第10回 18年09月更新

石田昇吾氏

今回は、研究開発の経理処理について解説いたします。(消費税は税込み経理とします。)

1、新製品の試作品の設計を委託し、その契約金108万円を支出した。

※研究開発の契約金を支出した段階では、まだ、役務の提供を受けていないと考えられるため、一度、前渡金等の資産の科目に計上することになります。

前渡金  1,080,000     現金預金  1,080,000

 

2、上記1、の費用を検収し、残金216万円を支出した。

※委託した研究開発契約が全うされ、検収が完了した場合には、そこで役務の提供を受けたことが確定します。
したがって、この時点で費用処理をすることになります。なお、消費税の仕入税額控除は、この時点で適用されます。

研究開発費 3,240,000     前渡金  1,080,000
                                             現金預金 2,160,000

 

3、研究開発目的にのみ使用する機械装置432万円を掛で購入した。

この機械は、他の目的には使用できず、研究は長期にわたって行われる見込みである。
※特定の研究開発目的のみに使用され、他の目的で使用できない機械装置や特許権などを取得した場合には、取得時の費用として処理します。
機械装置など、固定資産の科目で処理する必要はありません。
なお、費用処理するには、あくまでも「研究開発目的にしか使用しない」ということが必要です。

開発期間終了後、他の目的に転用して使用する場合には、この処理には該当しません。
また、機械装置を購入した時点で消費税の仕入れ税額控除が適用されます。

研究開発費 4,320,000     未払金 4,320,000

 

4、研究開発の成果として、販売可能な試作品が得られた。

試作品の原価の内訳は、
人件費¥1,000,000、消耗品¥500,000、減価償却費¥500,000であった。
※研究開発の結果として、良品が得られたとしても、すべて研究開発費として処理することになります。理由は、研究開発の目的は固定資産の制作のための活動ではなく、試作品はあくまでも研究開発の結果、副次的に得られたものであると考えられるためです。なお、この試作品が販売された場合には、売上原価に振り替えることになります。

研究開発費 2,000,000     給与手当  1,000,000
                                             消耗品費   500,000
                                             減価償却費  500,000

以上 今月は研究開発費について取り上げました。研究開発には様々な経費が掛かりますので、その都度、正確な処理方法を確認するようにしてください。

著者プロフィール(石田昇吾氏)

クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。
在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。
平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。
財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、仮想通貨に関連する税務業務にいち早く取り組んでおり、独自のサービスも展開している。
(https://www.bitcoin-tax-taisaku.com/)