コラム

税理士による身近な会計コラム

手形に関する経理処理について①

第11回 18年10月更新

石田昇吾氏

今回は、手形の経理処理と偶発債務について解説いたします。

1、商品108万円を仕入れる際、為替手形を振り出し、当社が売掛債権を有するC社を名宛人として為替手形を振り出し、C社の引き受けを得て支払った。なお、当該売上債権には、2%の貸倒引当金が設定されている。

<仕入の処理>

仕入 1,000,000  買掛金 1,080,000
仮払消費税 80,000

 

<為替手形の処理>

①買掛金 1,080,000 売掛金 1,080,000
償還義務見返 1,080,000 償還義務 1,080,000
又は
②買掛金 1,080,000 売掛金 1,080,000
保証債務費用 21,600 保証債務 21,600
貸倒引当金 21,600 貸倒引当金戻入 21,600

 

※為替手形を振り出した際には、満期日に手形金額の支払いが行われなかった場合、手形の振出人は、指図人からの訴求に応じて手形金額の支払い義務を負う可能性があります。①では、そういった債務(偶発債務)を対照勘定により、備忘記録を残す処理方法を採用しています。財務諸表上は、対照勘定は表示されませんが、未決済の為替手形の額面金額を貸借対照表に表示するなどの処理をします。また、②は、金融商品会計の実務指針で示された処理方法です。保証債務を時価で計上することになります。また、その際は、同額の貸倒引当金を取り崩します。

 

2、上記1の為替手形が満期日に無事決済された。

①償還義務 1,080,000 償還義務見返 1,080,000
又は
②保証債務 21,600 保証債務取崩益 21,600

 

※手形が期日に決済されたことで1、で計上した偶発債務(保証債務)が消滅することになるため、偶発債務(保証債務)を消滅させる処理を行います。

 

3、当社は、P社とそれぞれ2か月後満期日の2,000,000円の為替手形を相互に振り出し、即座に取引銀行において割引を受け、割引料300,000円を差し引き、現金で受け取った。

金融手形 2,000,000 手形借入金 2,000,000
現金 1,700,000 金融手形 2,000,000
手形売却損 300,000
割引手形義務見返 2,000,000 割引手形義務 2,000,000

 

※今回のように、資金の融通のために手形を相互に振り出して割り引くような手形を、「融通手形」と呼びます。融通手形は、「金融手形」という資産と「手形借入金」という負債を両建てして処理します。また、手形の割引に関する偶発債務の処理も行うことになります。

 

以上 今月は手形と偶発債務の処理について取り上げました。手形を使う商慣習のある業種の方は参考にしてみてください。

著者プロフィール(石田昇吾氏)

クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。
在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。
平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。
財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、仮想通貨に関連する税務業務にいち早く取り組んでおり、独自のサービスも展開している。
(https://www.bitcoin-tax-taisaku.com/)