コラム

税理士による身近な会計コラム

自己株式に関する経理処理について

第12回 18年11月更新

石田昇吾氏

今回は、自己株式に関する経理処理について解説いたします。

 

    1、株主総会の決議に基づいて自己株式¥10,000,000の取得を行い、取締役会の決議により、自己株式を消却した。その際の付随費用は¥100,000であった。

 

<取得時の処理>

自己株式        10,000,000         普通預金    10,000,000

 

<償却時の処理>

その他資本剰余金   10,000,000         自己株式    10,000,000

自己株式消却費     100,000          普通預金     100,000

 

※自己株式の消却時は、優先的にその他資本剰余金から減額します。取得の際の付随費用は、損益計算書の営業外費用に計上されます。また、自己株式の取得は実質的に資本の払い戻しとしての性格であるため、純資産の部で控除する形で表示します。なお、自己株式の取得は、資産の譲渡等には該当しないため、消費税の課税対象とはなりません。

 

 

    2、上記1により取得した自己株式を消却せず、他に¥11,000,000で譲渡した場合。

 

普通預金      11,000,000       自己株式       10,000,000

                                                   自己株式処分差益  1,000,000

※自己株式を他に譲渡することにより発生する「自己株式処分差益」は、その他資本剰余金の項目として計上されます。自己株式処分差損が発生する場合は、(会計年度単位で)自己株式処分差益と相殺されます。相殺しきれない金額は、その他資本剰余金・その他利益剰余金の順で減額します。

 

 

3、株主総会の決議により、自己株式の処分と新株の発行を同時に実行した。

(株式募集による払込金額は、¥100,000,000。処分する自己株式の帳簿価額は、¥10,000,000とする。)

 

 

普通預金      100,000,000    資本金    90,000,000

                                                           自己株式    10,000,000

 

 

4、3で処分する自己株式の帳簿価額が、¥120,000,000の場合

 

普通預金      100,000,000    自己株式  120,000,000

その他資本剰余金   20,000,000

 

※自己株式の処分と新株の発行を同時に行った場合の増加すべき資本項目の内訳は、会社法の規定に基づき、全て資本金とせず、一部が、資本準備金又はその他資本剰余金となる場合もあります。なお、4、の事例は払込金額が処分する自己株式の帳簿価額未満の金額であり、その部分の金額は、その他資本剰余金を減少させる処理を行います。

 

 

以上 今月は自己株式の処理について取り上げました。旧商法では、自己株式の取得は原則禁止されていましたが、会社法では、自己株式の取得も可能となっており、様々なケースが考えられます。その都度、処理方法を良く確認して処理するようにしてください。

著者プロフィール(石田昇吾氏)

クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。
在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。
平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。
財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、仮想通貨に関連する税務業務にいち早く取り組んでおり、独自のサービスも展開している。
(https://www.bitcoin-tax-taisaku.com/)