税理士による身近な会計コラム
現金・小口現金に関する経理処理について
第13回 18年12月更新
コラム
石田昇吾氏
今回は、現金・小口現金に関する経理処理について解説いたします。
1、小口現金の出納係より用度係に小口現金として¥50,000を小切手により手渡した。当社は、小口現金についてインプレストシステム(定額資金前渡法)を採用している。
小口現金 50,000 当座預金 50,000
2、月末に用度係より、以下の通り小口現金の使用報告を受けた。
切手代 10,800円
クリアファイル 5,400円
タクシー代 3,240円
取引先菓子折り代 8,640円
通信費 10,000 小口現金 28,080
事務用品費 5,000
旅費交通費 3,000
交際費 8,000
仮払消費税等 2,080
3、出納係より小口現金¥28,080を小切手で補充した。
小口現金 28,080 当座預金 28,080
※上記の通り、インプレストシステムでは、小口現金の補充のたびに同額が出納担当者の手元に渡される仕組みとなっています。ただし、期末においては、費用の帰属時期に注意が必要です。小口現金の出納担当者が支出報告又は精算を行うのが翌期となっていても、費用の支出自体が期中であれば、期中の費用として処理するのが正解です。期中に未精算の小口経費が発覚した場合には、
通信費 ×× 未払金 ××
などの処理でしっかりと費用を計上するようにしましょう。
また、上記説例2、で購入した切手のうち決算時に未使用分が含まれているときは、
貯蔵品 ×× 通信費 ××
として、資産に計上するのが正しい処理になります。郵便切手類の消費税の仕入税額控除は、継続適用を条件に、購入した日の属する課税期間の課税仕入れとして処理することが認められています。
4、月末において、手許現金が現金出納帳の残高より、40,000円不足していることが判明した。
現金過不足 40,000 現金 40,000
5、決算において、上記40,000円のうち、37,800円は交際費の記帳漏れであると判明したが、残りは不明である。
交際費 35,000 現金過不足 40,000
仮払消費税 2,800
雑損失 2,200
※現金過不足が発生した場合には、暫定的に現金過不足勘定にて処理をし、原因が判明した際には正当な科目へと振り替えます。決算においても原因が不明な差額は「雑損失」又は「雑収入」として処理を行ないます。
以上 今月は現金・小口現金の処理について取り上げました。仕訳処理のタイミングは会社ごとに異なると思いますので、その都度確認するようにしてください。
クライサー税理士法人 代表 亀戸本店所長 http://www.ishida-tax.net/
明治大学付属明治高等学校、明治大学商学部産業経営学科を卒業。
在学中から税理士を目指し、都内の税理士法人にて、税理士業務全般に従事。
平成23年に石田税務会計事務所を開設。
平成28年より税理士法人化し、名称をクライサー税理士法人へと変更する。
財務面と経営者の視点の両方を兼ね揃えた提案に定評があり、顧問先にじっくりと向き合ったサービスを提供している。
また、仮想通貨に関連する税務業務にいち早く取り組んでおり、独自のサービスも展開している。
(https://www.bitcoin-tax-taisaku.com/)