業務ツール考察『徒然なるままに、、、』
ワークフローシステムの導入で失敗しないための注意点とは?
第13回 20年03月更新
コラム
鈴与シンワートDX推進部A氏
ワークフローシステムに関心をお持ちの方は少なくありません。しかし慣れないものをいきなり導入するのはリスクを伴います。そういったリスクを軽減し、ワークフローシステムの導入を成功に導くには何が必要なのでしょうか?事前に考えておかなければならない点をあげてみましょう。
ワークフローシステムを導入するにあたり重要なポイントの一つとして、何を改善したいのか明確にしておくことがあげられます。
ワークフローシステム導入の目的は業務効率化、コスト削減です。しかし、具体的に何をすれば業務効率化につながるのか、何を減らせばコスト削減できるのか、こうした点を明確にせず導入するケースは多々見られます。
何を改善したいのか明確なイメージが無いまま導入を進めても、いざ使い始めた時に思っていたほどの効果を得られないことがあります。
さらに、「効率化できた」とか「コストが削減できた」といっても対象が明確でなければ、導入前後でどの程度の効果があったのか定量的に知ることができません。
そのため、ワークフローシステム導入時には具体的な目標を明確にする必要があります。例えば、「稟議書の回覧を既存業務より平均3日速くする」、「差し戻された際の再起案を1日で行えるようにする」、「社内文書の50%をペーパーレス化する」、「稟議書のステータスが分かるようにする」、といったような具体的な目標です。
こうして改善点を明確にしておくことで、ワークフローシステムの導入を成功に導くことができるのです。
ワークフローシステムは、稟議システムや電子決裁システムなどがありますが、まずは、自分の会社の現状をしっかり把握することが大事です。
どの業務が一番大変か、システム化を行っても業務上に問題は起きないか、といったことを確認することが必要です。業務に費やしている時間や手間を分析したり、担当者にヒアリングをしたりすることも大事です。
効率化が実現できなければ導入の意味はありません。シミュレーションを行い「効率化が可能か」、「コスト削減ができるのか」などを分析しておきましょう。
ワークフローシステムを導入する際に注意しなければならない点の一つとして、導入するワークフローシステムが自社の業務内容に合っているか事前に確認しておくということがあります。
自社の決裁フロー、稟議回覧フロー、経費精算時の申請フローがワークフローシステムと合致していなければ、そもそも導入する意味がありません。
世間一般に出回っているワークフローシステムはパッケージソフトであることが多く、汎用的に作られているため単に導入しただけでは業務内容との齟齬が発生してしまいます。
これを回避するために事前確認、つまりフィットギャップ調査が必要となってくるわけです。これを行っていない場合、導入後に混乱が生じ業務が滞る恐れがあります。
業務内容に合っているか確認した際に、仮にギャップが発生した場合には、ワークフローシステム側をカスタマイズして既存の業務内容に合わせるか、既存の業務内容をワークフローシステム側に合わせるかを考えなければなりません。
ワークフローシステムを導入する際に意外に見落としがちなのが操作がしやすいかどうかという点です。
機能に問題が無くても使い勝手が悪ければ進んで使おうという気が起こりません。操作性が悪いばかりにかえって効率が悪くなったということも起こり得ます。
操作性で確認すべきポイントとしては、直感的に分かりやすいか、メニューが細かく分岐され過ぎていないか、入力項目は既存の稟議書・決裁書などと同じ名前か、入力フォーマットは既存の稟議書・決裁書と同じかなど複数あります。
操作性を確認する際には、導入を推進するプロジェクトメンバーやシステム部門の担当者だけではなく、広くユーザーからも意見を聞くことが大事です。
そのために導入プロジェクトにはユーザー部門の代表を必ず参画させ、本番稼働させる際にはユーザーからの評価を踏まえ最終承認を得る必要があります。
ワークフローシステムを実際に導入する段階まで来た時、いきなり全社的に導入すると混乱が生じるのは目に見えています。
それを解決するために、一つの部門内での試験運用がおすすめです。使ってみて初めて気付く問題が出てくることも考えられます。限られた人員でテスト的に導入し、出てくる問題を解決しておかなければなりません。
一つの部門での試験運用で問題がクリアされ、初めて部門をまたいだ導入、全社導入という運びとなります。
ワークフローシステムの導入を考えるなら、何を改善したいのかを明確にしなければなりません。具体的に何をどうすれば業務の効率化ができ、コスト削減につながるのかを見極めることです。
目標が定まれば、実際に行われている業務の分析が必要です。問題点を把握するだけでなく、シミュレーションで効果も分析しておくことも大事です。システム選定にあたっては、自社の業務内容によくマッチしたものを選んで下さい。その際、操作性も確認しておきましょう。
導入しても操作が容易でなければ使うのに抵抗が生まれるからです。
実際に使う方の意見は極めて大切です。このような点をクリアできれば、ワークフローシステムによる業務効率化、コスト削減は見えてくるでしょう。
2016年鈴与シンワート株式会社へ中途入社し、DX推進部に所属し、今年で4年目。
元々はアシスタント業務をしていたが、現在は宣伝広告・広報担当として自社サービス、IT業界のマーケットを勉強中です。
日々の学習成果をコラムに綴り連載予定!!
よろしくお願いします。